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北里義之・2015/8/4 木村 由:ひかげぼっこ[3回目]


8月4日(火)木村由さんの隔月ダンス公演『ひかげぼっこ』の3回目がありました。長襦袢に赤い帯、長い髪をほどいて、黒いスリッパのような履物をはいた木村さんが、上手から下手へ、夕陽があたるように斜めに壁から床へと走るライトの内外を出入りして、暗闇や床や壁を感じながら、質感を重視した、ゆっくりとした動きをつなげていく独創的なダンス。鳴っているのは風鈴ではなく、カタカタという空調の機械音でしたが、そこには、じっとりと汗をかかせる蒸し暑い日本の夏と夕涼みの風情が漂っていました。さまざまな切り口からご自身の身体にダイヴしていく木村さんですが、何年も拝見していると、地下を掘り進む蟻の巣穴がふと連結するように、このダンスを掘り進んでいくとここに出るのか、という場面に出会って驚くこともよくあります。今回の『ひかげぼっこ』は、最後の場面で初めて椅子を使ったせいでしょうか、2012年のちゃぶ台ダンス『夏至』を鮮明に思い出させるものでした。あのときもやはり、夕陽を連想させる赤のイメージが空間を支配していて、ダンサーには、亭主や息子に死なれて途方にくれる戦争未亡人の風情があり、そこから敗戦記念日やヒロシマの記憶を喚起させられたのでした。今年もやってくる敗戦記念日を目前にして、ちゃぶ台なしで喚起されるちゃぶ台の記憶。
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