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私の選ぶ10冊 幻想文学編 由良瓏砂 note

note


お久しぶりです。
7月8日に引越しがあり、その準備と片付けで一ヶ月が過ぎていきました。
ようやく、新居が落ち着いてきたところです。

さて、当初は今回「ファンタジー」にしよう、と思っていたのですが、私が読んでいるのはどちらかというと幻想文学に近いかなと思い、「幻想文学」編にしました。
わたしにとっては最も、思い入れが強いジャンルかも知れません。

もちろん幻想文学にもファンタジーにも、厳密な定義はありませんが、感覚的には違うものだという気もします。
でも細かいことを言っていると始まらないので、ここでは混ぜてしまいますね。

では、いってみましょう。

ダンテ・アリギエーリ『神曲』
高橋たか子『リュミリア』
山尾悠子『夢の棲む街』
E・T・A・ホフマン『砂男』
ミヒャエル・エンデ『鏡の中の鏡』
フランツ・カフカ『城』
H・P・ラヴクラフト『未知なるカダスを夢に求めて』
グスタフ・マイリンク『ゴーレム』
レオノーラ・キャリントン『耳らっぱ』
ジャン・レー『マルペルチュイ』
昨年5月から1年間、神保町スピノール・ギャラリーにて開催した「オカルティズム講座」。
コロナ禍の中、4月にツイキャス配信にて最終回を開催し、1クールを無事終えました。
その続きとして今は月一回、第三月曜日に、ツイキャスにて「由良瓏砂 オカルティズム朗読会」を配信しています。
6月の第一回はウィリアム・ブレイク『天国と地獄の結婚』。
そして第二回がダンテの『神曲』でした。
ただご存知の通り、神曲は大著なので、まだほんのさわりしか読めていません。
8月以降も引き続き、神曲を読んでいこうと思いますので、まず第一冊目として、挙げさせて頂きました。

高橋たか子氏は、鎌倉の住民でカトリック、しかも作家活動をシュルレアリスム的な作品から開始するという、私のアイデンティティと重なる部分がとても多い作家。
彼女自身は京都出身ですが、鎌倉で夫君の高橋和巳氏と住んでいた家を、エッセーの中の描写を頼りに探しに行ったこともあります。
大学でも、芸術学科だったにもかかわらず、卒論のテーマに高橋たか子を選びました。
アウトローな大学で本当に良かった。
長編にも良作が多いのですが、初期の幻想的な短編集『骨の城』から、ピュグマリオン的で同性愛的な要素の強い『リュミリア』を選びました。
彼女と澁澤龍彦氏との共訳のある、ピエール・ド・マンディアルグ『大理石』も捨てがたかったのですが、私はどうもエロティシズム的な要素が苦手な為、没になりました。

山尾悠子氏を知ったのは、比較的最近です。
硬質で幻想的な作品世界に、あっという間に惹き込まれました。
『ラピスラズリ』もとても好きなのですが、迷宮や廃墟、幻想的建築物の好きな私としてはつい、『夢の遠近法』に収録の『夢の棲む街』を選んでしまいました。
同じく収録作の『遠近法』と共に、この短編集の表紙に選ばれた廃墟画家、モンス・デジデリオの絵画の中で起こっている出来事を描いたような作品です。

E・T・A・ホフマン作品は『砂男』がバレエ『コッペリア』とオペラ『ホフマン物語』、『くるみ割り人形とねずみの王さま』がバレエ『くるみ割り人形』に翻案されていますが、それぞれ内容は原作と異なっています。
私の最初のホフマン体験は、幼い頃に観たサンリオの人形劇映画『くるみ割り人形』でした。
その中に、「ジャンカリン」という名前で砂男が登場する為、私の中でこの2つの作品は、良く混ざってしまいます。
『くるみ割り人形とねずみの王さま』は以前朗読劇の形で上演したことがあり、今冬再演予定でしたが、このコロナ禍の情勢では難しそうです。
児童文学である『くるみ割り人形とねずみの王さま』に比べて、『砂男』はより陰惨な内容。
でもやはりいずれも、ピュグマリオニズムを描いた作品として秀逸で、どうしても惹かれてしまうのです。

ミヒャエル・エンデ『鏡の中の鏡』。
これも、私のやっていた演劇ユニットMONT★SUCHTにて『螺旋迷宮カノン』というタイトルで舞台化した作品です。
ミノタウロスの迷宮に始まって紡がれる短編集で、一つ一つのストーリーが非常に強い世界観を持った幻想譚。そしてそれぞれのストーリーは繋がっています。
父親でシュルレアリストの画家エドガー・エンデによる挿絵付き。
私の大好きなエストニアの現代音楽家、アルヴォ・ペルトが『鏡の中の鏡』という曲を作曲しています。
この作品へのオマージュなのかどうかは分かりませんが、とても美しい曲です。

カフカの作品もよく、MONT★SUCHTで上演した作品のイメージソースになっていました。
というか『父の心配』などは何度か朗読劇の形で上演したので、私の作ったオドラデクはMONT★SUCHTのマスコットと言ってもいいくらいです。
他にも何作か短編を朗読し、「青空朗読」というインターネットサイトに掲載して頂きました。
お勧めは読み応えのある長編がいいな、と思ったのですが、細かい内容を忘れてしまった為、私の好みの巨大な建造物が出てくる『城』を。

H・P・ラヴクラフトの創製したクトゥルフ神話は、TRPG等の影響で最近かつて無い盛り上がりを見せています。
私はオリジナルのクトゥルフ作品として『深き眠りの門を越えて』という舞台作品を執筆したことがあります。
私が好きなのはどちらかというと、閉塞感のあるホラー小説よりも、「ランドルフ・カーターもの」と呼ばれる夢見者の冒険譚。
その最たるものが『未知なるカダスを夢に求めて』で、広大無辺なカダスの地の中心に聳え立つ縞瑪瑙の城が私の夢想を掻き立てるのは、言うまでもありません。

やはりMONT★SUCHTの舞台作品『ゴーレム』を執筆した際、参考にした書籍の一つがマイリンク『ゴーレム』。
小説として優れているだけではなく、神秘的著作としても価値のある作品です。
ゴーレム生成についてはカバラ文献にもあまり記述がなく、色々と探してやっとゲルショム・ショーレム『カバラとその象徴的表現』を入手できました。
今回の10冊にはヨーハン・V・アンドレーエ 『化学の結婚』も入れようかと思ったのですが、残念なことに人に借りた本で手元にないのと、文学作品というよりは神秘思想書の性質がより強いかと思い、今回は省きました。

画家としてもとても好きな女性シュルレアリストのレオノーラ・キャリントン。
彼女の作品は『姉妹』『美妙な死体の物語』『白兎』を朗読及び舞台作品として上演したことがあります。
今回は長編である『耳らっぱ』を取り上げてみました。
老人ホームが舞台のユニークな作品で、主人公のあっけらかんとした語り口は、年を取るということは身軽になるということか、と思わせられます。
アンナ・カヴァン『氷』と対比させて読むと面白いかも。

ジャン・レー『マルペルチュイ』は結構以前に読んだので内容は忘れてしまったのですが、古代の神々や呪文の登場する荘厳で神秘的な雰囲気が、好みだった記憶があります。

他に言わずと知れたルイス・キャロル『不思議の国のアリス』や、アンリ・ド・レニエ、ジャン・ロラン、マルセル・シュオブなど、捨て難い作品も多い上、もしかしたら何か忘れているかも知れませんので、後から追記したり変更したりする可能性も大ですが、今思いつくものとしてこの10冊を挙げておきます。


画像はパラボリカ・ビスで上演したMONT★SUCHT『螺旋迷宮カノン』の舞台写真






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