ベネズエラ音楽 Café negro 通信 2015/8/31(アルピスタ・川嶋菜穂子筆)


8月も晦日にかかる夜。
茶会記で朗読劇を観賞してきました。

「父と暮らせば」作・井上ひさし

しずかなヴァイオリンの調べ。
そっとドアが開いて、
二役を演じる吉田直子さんが登場。

ふんわりと、凛として、力を湛えながら
しなやかで、まっすぐな印象。
場の空気が ふっ と かわり、
すぐに惹き付けられました。

じつは、朗読劇を観賞するのは初めてです。
画と音と、生身の人間が織りなすその世界。
おどろくほど、想像力が広がるものですね。

迫力ある吉田さんの芸とともに
西本徳子さんも楽器を通して表現しています。

ヴァイオリンって、なくんですね。
泣く、鳴く、哭く。
自然と涙が流れました。

おふたりと、演出された河田園子さん、
劇団昴の有志のみなさまの気配。

はじめてお会いした方々の芸に、
これほど、こころが動きます。
お声掛けくださった 店主 福地さんに感謝。

霧の雨を浴びるような夏のおわりの夜。
よき刺激をうけるとともに
なにかこころ温まるものを感じながらの帰路でした。







ベネズエラ音楽 Café negro 通信 2015/7/29 (アルピスタ・川嶋菜穂子筆)


すこし前になりますが、
フランスから来日したラテンバンドと
共演する機会がありました。

メンバーはひとりひとり
違う国籍を持っています。
コロンビア、メキシコ、チリ、フランス。

今まで出会った海外在住の音楽家は
アドリブや本番での化学反応を楽しむ、
といった傾向が強いように感じていました。

しかし、この4人は違います。
きっちり納得するまでリハーサルする。
日本の若手バンドにも感じる結束力。

それぞれのパーソナリティを
際立たせようとするひたむきさ。

違いを受け入れて、
それぞれの良さを精一杯、活かして
いい音楽を創り上げるのだという気持ち。

それは正しく届き、伝わり、
どんな音楽か知らずに初めて聴きにきた観客だって
気がつけば、隣り合った人たちみんな
一緒になって歌い踊っている。

「一緒に楽しむちから」を
観せてもらったように感じました。
彼らはまたフランスを拠点にして
グルーヴを産み出していることでしょう。

とてもすばらしい出会いでした。

そして、それを繋いだのもまた、
ベネズエラ音楽なのでした。








ベネズエラ音楽 Café negro 通信 2015/6/16 (アルピスタ・川嶋菜穂子筆)
日本でも有名なベネズエラの曲
「コーヒー・ルンバ」を世界的に広めた
Hugo Blanco (ウーゴ・ブランコ) が天に召されました。

彼はアルパ奏者であり、叔父のJose Manzo が作った原曲
「Moliendo café (モリエンド・カフェ) コーヒー豆を挽きながら」を
オルキデアというリズム様式で演奏したことで
瞬く間に大ヒットとなりました。

日本では むかしアラブの偉いお坊さんが〜 の歌詞で
なじみ深い曲ですが、原曲の歌詞はまったく違う内容です。

それは、コーヒー農園ではたらく男、マヌエルのかなわぬ恋の歌。
豆を挽く音は呻き声にも似ている・・・

南米のハープを習い始めて、
この曲がベネズエラ産であることを知りましたが、
日本語に訳すことは、むずかしく、あやういもの、とも思いました。

原曲に忠実な内容の訳詞を知り、わたしなりに咀嚼して
コーヒーの在る風景、あの香りを感じ想う様々な「時」に
こころ馳せ、自分のなかの小さな経験を総動員(といっても数年前の時点では20パターンほどでしたが年々増え続けています・・・)して
演奏に臨んでいました。

ほかにも、Playa colorada(紅の浜辺)、Dos Esclavos(哀しきルンバ)など
わたしが掻き立てられる曲はどれもHugo Blancoのつくった曲。
これからも彼の曲を演奏していきたいと思います。

ベネズエラから14,600km以上離れた、この東京でも
わたしだけでなく多くのアルピスタが彼のつくった曲を演奏しています。
蒔かれた種は確実に育っているのだと思います。


Naoko Kawashima

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